北川さんのシステマブログにヴラディミアさんが書いた、若者たちへのシステマについての紹介文の翻訳が掲載されています。北川さんの見事な翻訳と共に素晴らしい内容の文章です。ぜひ読んでみてください。
小さな成長を見付けてみよう
システマジャパンの参加者はほぼ90%が男性会員ですが、最近は女性参加者も増えてきました。
どの方も男性以上に熱心で、ほぼ毎回のように参加している女性参加者もいます。
先日、女性体験者が体験後に「ほとんど出来ませんでした、難しいですね」と言っていたので、
入門後約半年でメキメキと上達している女性参加者に「半年で何が出来るようになった?」と振ったところ、
「何も出来るようになってません!」
と身も蓋もない返事をされてしまいました。
と、そこで女性体験者がその女性会員に「拳立て出来てすごいですよね」とナイスフォロー。
女性会員も「あ、そう言えば、出来るようになってた!」
と自分の成長に気づいたようでした。
システマ東東京でも参加者に「ここ最近で何が出来るようになった?」と聞いてみたところ、
「何も出来るようになってないかも?」と頼りない答え。
もちろん謙遜もあるのでしょう。
しかし、もっと出来るようになったこと、新しくわかったことに注目した方がいいのではないでしょうか。
システマ東東京は少人数でやっているので、その日の参加者全員の成長具合を確認しながら進めていけます。
最初は出来なかったことが少しでも成長したことが感じられてから次のワークに進めていきます。
もちろん、全てのワークでこれをやっていると時間がどんなにあっても切りがないので、その日の重点項目に限ったことになりますが。
それでも、毎回参加者の成長を感じることが出来ます。目標が現段階より10ステップ上だとして、一気に10ステップ上がっていける人もいれば1ステップしか上がれない人もいます。1ステップしか上がれなかった人でも「出来なかった」ではなく「1ステップ上がれた」に注目してみてはどうでしょうか。
何ステップであろうと、次に同じことをやったとき、前回成長した度合いまですぐに出来ることは少ないでしょう。せっかく上がった1ステップも出来なくなっているかもしれません。
そんなとき、上の9ステップを気にして「前回も出来なかった」だと成長が記憶に残っていません。でも、上がった1ステップを「前回はあれが出来た」と覚えていれば、その1ステップを取り戻しやすくなります。
出来るようになったことが小さなことの場合、自分の変化を見付けることは難しいかもしれません。でも、その変化を見付けるのはとても大切なトレーニングになります。毎回のトレーニングの後、自分で何が出来るようになったのか、自分の中を探って、小さな成長を見付けてみてください。
運動神経
先日テレビ番組「アメトーーク」の運動神経ない芸人を見ていて子供時代を振り返ってしまった。
私も運動神経がない方なので、妙に共感出来ることが沢山あった。
幼稚園でスキップをやらされた時、どうも自分は他の人達とは何かが違うと気づいた。スキップが出来ない。どうやればいいのか、皆目分からない。未だに分からない。なんであんな複雑なことを幼児に強制させるのか。私は幼稚園で登校拒否になりかけた。
小 学校の運動会は運動神経ないことの発表会みたいなものだった。短距離走では前の人と段違いの差をつけてビリの方ばかり。たまに転ぶ人がいると後ろから2番 目。一時期、運動会で順位をつけない学校があったらしく、そのあまりの平等主義?が批判されてたことがあるが、私は断固指示する。あんな競争大人になって したことないしあの劣等感は大人になっても何の役にも立たない。
授業の合間の休憩時間は教室で過ごした。
当時ドッジボールが流行っていたのだか、ボールをまともに投げられない。
一人大人しく過ごしたいのだが、担任がそれを見つけて、「仲間に入れてやれ」
と強制参加。ボールを取ったはいいが、まともにコントロールが出来ずに、相手の顔面直撃。参加者に危ない奴と思われ狙われる。以後も確か参加せず。
中学校では何か部活に入らなければいけなかったので、入りたくなかったのだが卓球部に入った。当然まともにラリーが続く訳もなく、面白くないので、休む。ある時、仕方なしに参加したら、名簿の名前に線が引かれていた。全員強制参加の部活動を首になってしまった!
担任は謝罪して入れてもらえと言うが、そんなもったいないことするわけない。進級後も部活に入れという教師からの圧力はたまにあったが「また、出れなくて首になるから」といって3年間、高校含めて6年間帰宅部を貫き通した。
高 校ではバスケのシュート。ゴールにボールを入れるテストが衝撃的だった。5本中何本入るかでテストされた。多くの人が何本も決め、中には5本全てを決める 人もいる。これは流石に自分でも1本は入るだろうと思っていた。しかし、1本も入らない。これには自分もあっけにとられた。厳しい教師が同情のあまり「も う一回やるか?」と言ってくれたが、一本も入らない自信があったのでありがたく辞退した。
私にとって、学校の体育はほとんどが無駄だった。なぜならば、上達する喜びを得られず、単に周りに対する劣等感を植え付けられるだけだったからだ。
学 校体育を離れて、運動して今まで出来なかったことが出来るようになる喜び、自分の身体を自分でより上手くコントロールする喜びを味わうことができて、運動 することの楽しさがわかった。武術がそれを教えてくれた。武術や格闘技にはそもそも何も出来ない人に少しずつ積み上げていって出来るようにさせる方法があ る。出来ない人には出来ないところまで降りていって出来るようにさせる方法がある。
残念ながら、学校の体育の教師の多くはそんな0からの苦労をした経験がないから、そんな方法を持たないのだろう。少なくとも私の教師達はそうだった。
運動なんて大嫌いだったのが、今ではなぜか週3回は運動して人様に教えたりまでしてる。不思議なものだ。
シ ステマでは、一風変わったトレーニングが多く、運動神経があってもいきなりは出来ないものも多い。その点で多くの人が出来なかった段階と試行錯誤して出来 るようになる経験を共有出来る。また、武術は運動神経だけではどうにもならない技術も多い。そのための練習方法も用意されている。システマをやってみたい けど、子供の頃運動が苦手だったとか、運動神経ないからと躊躇している人はそんなこと気にせずに参加してみてほしい。きっと運動する楽しさを味わえると思 う。
どのぐらい練習すればいいか
システマをトレーニングしていると、時折、めきめきと上達していく人がいます。
そういう人はほぼ必ず週2回~3回と時間さえあれば参加している人です。
だから、システマは参加した時間に比例して上達していく、と言っていいかもしれません。
それはなぜかと考えてみると、体感しながら練習していく方法が様々に用意され、工夫されているせいかもしれません。
代表的なのはストライクですが、鞭やチェーン、トレーニングナイフ、それにグラウンドを含め、身体に様々な衝撃を与え、それを消化していく。身体を固めたりしてシステマらしくない対応があればそれを補正していく。その作業はトレーニングに参加してこそ効率的に行えます。
特に初心者のうちは一人で復習していると見当違いな方向に行ってしまいかねません。
復習も大事ですが、早く上達したければ週1回よりも2回、2回よりも3回と参加した方が確実に上達していけるでしょう。
そういう私は何年間も週1でした。
しかし、だからこそシステマは参加した時間に比例して上達していくと実感できます。
きちんと続けてさえいれば、確実に上達していきます。
特に初心者のうちは自分が成長していることもなかなか把握出来ないでしょう。
週に何回も参加している練習仲間がいると、周りは上達していくのに自分だけが上達していかず取り残された気までしてくるかもしれません。
参加者を見ていると、週1ペースとはいえ熱心に参加していたのに、半年も経つと参加しなくなってしまう人がいます。
せっかく成長の始まりが見え始めてきたところでやめてしまう人が多いのです。
逆に週2、3回と参加し続けてきた人はその後もしっかりと参加し続けていけるようです
(週2~3回参加する新人自体があまり多くはありませんが)。
週1でしか参加出来ない人は、半年程度で見限らず、ぜひ一年は続けるつもりで参加してみてはどうでしょうか。
一年経てばきっと自分の成長が実感できるはずです。